- 「駐車場は相続対策になるってホント?」
- 「なんで相続対策になるの?」
- 「土地の相続と何が違うの?」
この記事を読まれている方は、こんな疑問を持たれていると思います。
実は、駐車場経営をすることによって「小規模宅地等の特例」で、相続税評価額を50%減額することができます。
小規模宅地等の特例とは、亡くなった人が住んでいた土地、事業していた土地を相続で引き継ぐ際の相続税を、一定の要件を満たせば減額できる制度です。
つまり、相続税の節税ができます。
相続税は、「相続税評価額」で、納税額が決まります。
相続税評価額を下げることで、土地によっては、納税額を数百万円単位で節税できる、節税効果の高い制度です。
僕自身、サラリーマンをしながら、月極駐車場の経営をしています。
超初心者から始めて、現在9台分の駐車スペースがあり、9台満車の契約で運営しています。
この記事では、
- 月極駐車場経営での小規模宅地等の特例の活用
- 注意点
について解説していきます。
知っている人が得をする制度なので、理解を深めていきましょう。
小規模宅地等の特例の概要
小規模宅地等の特例とは、
被相続人(亡くなった方)が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地の評価額を、一定の要件を満たしていれば、最大80%減額できる制度です。
土地に満額の相続税がかかっていたら、土地を引き継ぐこと、事業を継続することが困難になるため、この制度ができました。
※使用用途によって減額される割合に違いがあります。
種類 | 使用用途 | 限度面積 | 減額率 |
特定住居用宅地 | 住宅として使っていた土地 | 330㎡ | 80% |
特定事業用宅地 | 事業で使っていた土地 | 400㎡ | 80% |
貸付事業用宅地 | 貸付をしていた土地 | 200㎡ | 50% |
月極駐車場の場合「貸付事業用宅地等」に該当します。
小規模宅地等の特例を適用する場合、200㎡までの土地を、土地評価額50%減額することができます。
土地の評価方法は、「路線価方式」と「倍率方式」で行われます。
路線価方式
- 路線価が定められている地域の評価方法
道路に面した一般的な宅地のことで、1㎡あたりの価格のことです。
路線価に面積をかけて計算します。
倍率方式
- 路線価が定められていない地域の評価方法
固定資産税に一定の倍率をかけて計算します。
路線価図、評価倍率表の見方は、国税庁ホームページで閲覧できます。
駐車場の規模の大きさは関係なく、適用の対象になります。
一定の要件
- 相続開始前からその土地で不動産貸付業を営んでいる。
- 相続人が相続税の申告期限まで不動産貸付業を継続している。
- 建物、構造物の敷地である。
相続開始前からその土地で不動産貸付業を営んでいる
※3年以内というのは駐車場土地の取得日ではなく、貸付事業を始めた日で判断します。
ただし、駐車スペース50台以上ような事業的規模で運営している場合は、相続対策の目的と判断しづらく、3年以内に事業を開始した駐車場であっても、適用対象となります。
- 駐車場経営開始から3年以上経過しているか?
- 事業的規模なのか?
が判断基準です。
相続人が相続税の申告期限まで不動産貸付業を継続している
土地を相続した方が、小規模宅地等の特例の適用を受けるまでの間、駐車場経営を継続していることが条件です。
土地を相続する3年以上前から経営をしている場合であっても、無効になるので、注意が必要です。
駐車場に空きがある状態でも、要件を満たしていれば、空き範囲も適用の対象です。
建物、構造物の敷地である
- アスファルト舗装
- コンクリート舗装
上記の場合、「構造物」になり、要件に当てはまるので、特例の対象となります。
一部がコンクリートやアスファルトになっている駐車場は、舗装されている部分のみ適用の対象となります。
構造物として微妙
ここで注意しておきたいのが「砂利敷き」です。
月極駐車場経営をする場合は、アスファルト舗装しておきましょう。
舗装方法のメリット・デメリットは以下の記事で解説しています。
【駐車場経営】初期費用はいくらかかる?毎年かかる固定費も徹底解説!
一定の要件に当てはまらない
- 地面が土の駐車場
- 自家用車も駐車している
- 無償または、安価で貸している
地面が土の駐車場
「青空駐車場」のような、地面が土の場合は、「構造物」ではないので、特例の対象にはなりません。
自家用車も駐車している
自家用車を駐車しているスペースは、自用地(自分で使っている場所)と判断されるので、自用地を除いた範囲が適用の対象となります。
無償、安価で貸している
不動産貸付業は、「不動産の貸付けは相当の対価を得て継続的に行うもの」で、無償または、安価で貸している場合は、「相当の対価」に当てはまらず、不動産貸付業を継続していることにならないため、適用の対象外です。
注意点
小規模宅地等の特例を適用する場合の限度面積は200㎡、減額割合50%で、超える部分に関しては、適用の対象外となります。
例)250㎡の宅地を相続し、特例の適用前の評価額が5,000万円
計算方法
適用前の評価額−(相続する評価額×限度面積/実際の面積×減額割合)
5,000万円−(5,000万円×200/250×50%)=3,000万円
必要書類
- 本人確認書類(身元確認書類、番号確認書類)
- 被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍の謄本
- 遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し
- 相続人全員印鑑証明書
- 相続開始の日まで3年を超えて貸付事業を行なっていることを証明する書類
【本人確認書類(身元確認書類、番号確認書類)】
- マイナンバーカードがある場合
表面、裏面それぞれのコピーした写しの提出が必要です。
表面が身元確認書類、裏面が番号確認書類になります。
- マイナンバーカードがない場合
マイナンバーカードの記載された住民票、または通知カードの写しが番号確認書類になります。
運転免許証、保険証などの写しが身元確認書類になります。
【被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍の謄本】
相続開始から、10日間以上経った後に作成された書類が必要です。
平成30年の税制改正により、コピーでの写しの提出でも可能になりました。
図形式の「法定相続情報一覧図の写し」でも大丈夫です。
【遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し】
申告期限までに遺産分割協議が確定しなかった場合、申告期限後3年以内に、以下を記入し、分割見込書を税務署へ提出する必要があります。
- 分割されていない理由
- 分割の見込みの詳細
- 適用を受けようとする特例等
3年以内に分割できない場合
「遺産が未分割であることについて、やむを得ない理由がある旨の承諾申請書」を3年経過する日の翌日から2ヶ月以内に管轄内の税務署長に対して提出する必要があります。
※「承諾申請書」の提出が期限内になかった場合は、小規模宅地等の特例の適用を受けることができなくなるので注意が必要です。
【相続人全員印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)】
遺産分割協議書のコピーが正当なものであることを証明するため、相続人全員の印鑑証明書を用意します。
印鑑証明書のみ原本の提出が必要です。
【相続開始の日まで3年を超えて貸付事業を行なっていることを証明する書類】
賃貸借契約書や確定申告書の添付で証明できます。
まとめ
小規模宅地等の特例は、土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
駐車場の場合、一定の要件を満たしていれば、限度面積200㎡まで、評価額の50%減額ができます。
駐車場の規模は関係なく、特例を受けれます。
一定の要件
【相続開始前からその土地で不動産貸付業を営んでいる】
相続時、3年以上、駐車場の経営が経過していることが条件です。
【相続人が相続税の申告期限まで不動産貸付業を継続している】
駐車場経営を継続している必要があります。
【建物、構造物の敷地である】
アスファルト舗装、コンクリート舗装している場合、特例の対象となります。
砂利敷きの場合、認められない可能性があるので、注意が必要です。
要件に当てはまらない
【地面が土の駐車場】
「構造物」に当てはまらないため対象外です。
【自家用車も駐車している】
自家用車を駐車しているスペースは、自用地(自分で使っている場所)と判断されるので、自用地を除いた範囲が適用の対象となります。
【無償または、安価で貸している】
「相当の対価」に当てはまらず、不動産貸付業を継続していることにならないため、適用の対象外です。
冒頭でも言いましたが、更地の場合、自用地の扱いになり、特例を受けることができません。
その場合、基礎控除3,600万円をひいた金額に相続税がかかります。
駐車場にしておくと、特例を受けて、土地の評価額を下げ、そこから基礎控除3,600万円を引くので、かなり節税効果があります。
駐車場経営を検討されている方は、安定した収入を得つつ、将来、子どもたちに残す土地になりますので、節税できる対策をしておきましょう。
少しでも参考になれば、うれしいです。
以上、ありがとうございました!
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