- 余っている土地を活用して収入を得たい!
- 何をしたらいいのかわからない…
- リスクを取るのは不安…
そこで思いつくのが、「土地貸し」です。
この記事を読まれている方は、土地貸しを検討されている方だと思います。
土地貸しといえば、
- 土地を貸して副収入を得れる
- 手軽に始めることができる
- 費用がかからないからローリスク
と、思いがちですが、実は落とし穴があります。
それは、契約方法によっては、土地が戻ってこないということです。
えぇ〜?!なんで??詳しく教えて!
理由は「借地権」にあります。
借地権は、土地貸しをする上で重要なポイントになるので、この記事で知識をつけておきましょう!
この記事では、
- 借地権って何なの?
- 土地貸しで注意する点
について解説していきます。
ボク自身、サラリーマンをしながら、月極駐車場の経営をしています。
超初心者から始めて、現在9台分の駐車スペースがあり、満車の契約で運営をしています。
この記事を読むメリット
- 土地貸しのリスクに気づく
- 借地権の強さを理解できる
- 「土地が戻ってこない…」を防ぐことができる
それでは、いきましょう!
土地貸しは本当にローリスク??
余っている土地があれば、有効活用して、副収入を得たいという人は多いです。
土地活用といえば、
- 賃貸経営
- 太陽光発電
- 駐車場経営
- トランクルーム など
しかし、どの土地活用も初期費用がかかります。
その中でも、初期費用を抑えて始めることができるのが駐車場経営です。
駐車場経営については以下の記事で詳しく解説しています。
>>【月極駐車場経営】初心者でも始められる、おさえておくべき基礎知識を徹底解説!
初期費用を抑えれるとはいえ、最低でも数十万円〜の初期費用はかかってしまいます。
そこで思いつくのが「土地貸し(借地)」です。
土地貸しなら、費用もかからないし。
土地を安易に貸してしまうと、戻ってこない可能性がありますよ。
それは、「借地借家法」があるからです。
借地借家法とは、借りる側の権利を保護するための法律で、貸主側にとってデメリットの多い法律です。
借主が建物を建てる前提で土地を借りた場合、この借地借家法が適用されます。
基本的に借主が、自ら退去しない限り、よっぽどの正当事由がない場合は、貸主側の都合で退去させることができない厳しい法律です。
借地権の契約の種類によって違いがあるので、理解しておきましょう。
借地権とは土地を借りる権利
土地の所有者→「地主」
土地を借りる人→「借地人」
といいます。
土地を借りて、建物を建てる際、借地借家法が適用され、その中に借地権があります。
どの借地権で契約するかによって、契約期間、更新の有無の違いがあるので注意しましょう。
借地権は2種類ある
- 普通借地権
- 定期借地権
まずは、2種類の借地権の違いについて、ざっくり理解しておきましょう。
普通借地権 | 契約更新があり、借主の意思で半永久的に借りることができる。 |
定期借地権 | 契約更新がない。契約終了の際は、更地にして返す。 |
半永久的に借りれるってことは、半永久的に返ってこないってこと??
その通りです!ここを理解しておかないと、後から取り返しのつかないことになってしまいます。次は、それぞれの借地権の概要をみていきましょう。
普通借地権
普通借地権の特徴
- 契約期間は最低30年
- 契約更新が可能
- 「借地人」次第で契約は続く
- 契約方法を書面で交わす必要はない
普通借地権は、契約の存続期間が最低30年で、契約の更新ができます。
30年になる場合
- 30年未満で契約を交わした
- 契約時、期間の設定を特にしていない
30年以上の契約を交わした場合は、その期間が適用されます。
また、普通借地権は、更新が可能で、最初の更新後は20年、次の更新以降は10年単位で更新します。
つまり、借地人が更新を希望する限り、契約は続くというのが特徴です。
これじゃ、地主がかわいそうだよ…
一般的に「土地を貸したら戻ってこない」と言われているのは、普通借地権で契約を交わしているためです。
「正当事由」がある場合は、更新終了することができますが、借地借家法はあくまでも、借地人の権利を守る法律なので、正当事由が認められることは難しいです。
仮に、正当事由が認められ、契約終了した場合でも、借地に建てられた建物を借地人は地主に対して買い取り請求することができます。
そうなると建物を時価額で、地主が買い取らなくてはなりません。
地主にとって、高額な出費となり、結果的に契約を更新せざるを得なくということです。
借地借家法は地主に不利な法律なんだね。
ちなみに、普通借地権に関しては、契約を書面で交わす必要はなく、口頭でも構いません。
定期借地権
定期借地権の特徴
- 定期借地権は3種類ある
- 定めた契約期間で契約終了
- 契約更新はない
- 元の状態(更地)で返還する
定期借地権には、
- 一般定期借地権
- 事業用定期借地権
- 建物譲渡特約付借地権
の3種類あります。
種類 | 契約期間 | 利用目的 |
一般定期借地権
|
契約期間は最低50年以上。 |
用途に制限なし
|
更新はなし。 | ||
事業用定期借地権
|
契約期間は10年以上、50年未満。 |
居住用は不可
|
更新はなし。 | ||
建物譲渡特約付定期借地権
|
契約期間は最低30年以上。更新はなし。 |
用途に制限なし
|
30年以上経過した時点で地主が建物を買い取る。 |
それぞれの借地権の特徴について学んでいきましょう。
(1)一般定期借地権(法22条)
まず、借地人との契約期間を50年以上と設定する必要があります。
用途に制限はないので、事業用でも居住用でも構いません。
契約の更新はなく、設定した期間が経過すると契約終了となります。
その際、借地人は建物の買い取り請求を地主にすることはできません。
借地人は、建物を取り壊し、元の状態(更地)にして返還します。
以下のことを特約として契約を交わす必要があります。
- 契約更新はしない
- 建物再築による期間の延長をしない
- 期間満了による買い取り請求をしない
この特約に関しては、公正証書でなくても書面で大丈夫です。
- 契約期間を50年以上で設定する
- 契約更新なし
- 建物の買い取り請求なし
- 元の状態(更地)で返還
- 特約は書面でOK
(2)事業用定期借地権(法23条)
- 立地条件のいい土地を借りて飲食店を建てる
- 立地条件のいい土地にショッピングモールを建設する など
- 契約更新はしない
- 建物再築による期間の延長をしない
- 期間満了による買い取り請求をしない
- 契約期間は10年以上50年未満で設定
- 事業用の用途にのみ適用
- 契約更新なし
- 建物の買い取り請求なし
- 元の状態(更地)で返還
- 契約は公正証書が必須
(3)建物譲渡特約付借地権(法24条)
借地人との契約期間は、30年以上で設定します。
建物譲渡特約付借地権は、契約完了後、30年以上経過した時点で、借地に建っている建物を地主は借地人から時価で買い取る特約の借地権です。
契約に関しては、口頭でも構いませんが、トラブル防止のため、書面での契約をおすすめします。
このまま、建物の利用を継続したいんだけど…
30年以上経過した後も借地人が利用の継続を望む場合は、建物の所有者は地主で賃貸として貸し出すことも可能です。
でも、賃貸で貸したら、借地借家法が適用されるんじゃなかった?
「定期借家権」を活用すると大丈夫です!
「定期借家権」を活用することで、期間を決めて、建物を貸し出すことができます。
定期借家権は、定期借地権と同じように、契約の更新はありません。
契約期間を自由に決めることが可能です。
それなら、安心だね。
また、建物譲渡特約付借地権は、一般定期借地権・事業用定期借地権との併用も可能です。
- 30年以上経過して、建物の老朽化が進み、いらなくなった
- 建物を買い取る資金がない
- 土地をほかの用途に使いたい
そんな場合は、地主は建物の買い取りを止めることもできます。
契約期間・利用用途に応じて、一般定期借地権または、事業用定期借地権が適用され、借地人は、建物を取り壊し、更地の状態で返還することになります。
契約に関しては、口頭でも構いませんが、書面での契約をおすすめします。
- 契約期間は、30年以上で設定
- 用途に制限なし
- 契約後、30以上経過した時点で地主に時価額で譲渡する
- 定期借地権・事業用借地権との併用も可能
- 契約は書面が望ましい
建物を建てない場合は、借地借家法は適用されない
土地を借りて、建物を建てる場合は借地借家法が適用されますが、建物所有が目的でない場合は借地借家法は適用されません。
たとえば、
- 駐車場経営をする
- トランクルームビジネスをする
- 資材置き場をして利用する など
借地借家法が適用されないということは、借地権も設定されません。
じゃ、土地は戻ってくるってこと??
契約期間の上限は20年で、それ以内なら、自由に期間を設定することができます。
期間を設定しないことも可能で、上限の20年以内であれば、地主・借地人どちらでも解約の申し入れをすることができます。
その場合、解約通知をする期間の設定を、契約時にしておくことが望ましいです。
- 契約期間は最長20年
- 期間の設定をしなくてもOK
- 借地借家法の適用外
- 借地権の設定はない
- 地主・借地人いずれも解約の申し入れ可能
土地貸しをするときの注意点
- 普通借地権と定期借地権の違いを理解しておく
- 借地人が、何の目的で土地を借りるのかを明確にしておく
- 契約の更新をしなくない場合は定期借地権で契約をする
(1)普通借地権と定期借地権の違いを理解しておく
何も知らずに土地を貸してしまうと、後にトラブルの原因となります。
上記でも解説した通り、1番の違いは、契約更新の有無です。
- 普通借地権→借地人の意向次第で半永久的に契約更新できる
- 定期借家権→契約期間満了で契約終了
定期借地権での契約は、契約期間が経過すると契約終了して、更地の状態で返還されますが、普通借地権は、仮に契約更新しない場合でも建物を地主が買い取ることになるので、多額の費用がかかります。
最悪の事態を避けるためにも、違いを理解しておくことが重要です。
(2)借地人が、何の目的で土地を借りるのかを明確にしておく
借地した場所に建物を建てる場合、借地借家法が適用されますが、建物を建てず、ほかの用途で利用する場合は、適用されません。
建物を建てないのであれば、法的な拘束力もゆるく、比較的、貸しやすい状況になります。
利用用途を確認して、契約時にその旨を記載しておくことで、トラブル回避につながります。
契約は、書面で交わすことが望ましいです。
(3)契約の更新をしたくない場合は定期借地権で契約をする
確か、定期借地権は契約更新なしだったよね?
その通りです。
さらに、建物の買い取り請求もなく、更地の状態で返還する特約を交わすことで、土地貸しには有効な手段となります。
期間延長してもいいと思ったら、再契約をすることで期間延長が可能です。
手順は同じで、書面で契約を交わしましょう。
利用用途によって、契約期間が違うので、注意が必要です。
まとめ
立地条件のいい場所に土地を所有していると、「貸して欲しい」と依頼されることもあります。
しかし、土地貸しには、落とし穴があり、安易に貸してしまうと、戻ってこない可能性があります。
借地法を理解しておくことで、貸すときに注意する点がわかります。
建物所有の目的かどうかで、借地借家法の適用の有無が決まりますので、利用用途を明確にしておくことが重要です。
今回、解説した内容を理解しておくことで、最低限の知識はOKです。
知識をつけて、土地活用をしていきましょう!
以上、ありがとうございました!
コメント