- 「駐車場経営で開業届の提出は必要なのかな?」
- 「開業届って何?」
- 「提出しないと、どうなるの?」
こんな疑問ありませんか?
駐車場経営を始める際に、開業届を出すべきなのか不安になる方も多いです。
特に会社員の方は、「開業届」に関わることがないので、当然だと思います。
結論、開業届は提出した方がいいです。
なぜなら、開業届を提出することによって、受けられるメリットがたくさんあるからです。
中でも、一番インパクトのあるメリットは、「青色申告特別控除」が使えることです。
青色申告特別控除とは、所得金額を最大65万円控除できる、節税効果の大きい申告方法です。
僕自身、サラリーマンをしながら、月極駐車場の経営をしています。
超初心者から始めて、現在、9台の駐車スペースがあり、満車の契約で運営をしています。
この記事では、
- 月極駐車場経営での開業届提出の必要性
- メリット
- デメリット
について、解説します。
個人で駐車場経営をしたい方の参考になればと思います。
この記事を読むことで、
- 開業届への疑問や不安の解消
- 青色申告特別控除での申告による節税効果
を理解することができます。
それでは、解説していきます!
開業届は、開業時に税務署に提出する書類
そもそも、開業届とは、新しく事業や不動産業を始めるとき、税務署へ提出する書類のことです。
開業届の提出は「義務」
所得税法第229条により原則、開始時から1ヶ月以内に、地域の税務署へ開業届の提出が義務づけられています。
しかし、実際には提出していなくても罰則があるワケではありません。
人によって、メリット・デメリットがあるので、よく理解した上で提出しましょう。
月極駐車場経営でも開業届を提出すべき理由
開業届を提出することで、一番インパクトがあるのが、青色申告での確定申告が可能になることです。
駐車場経営は「不動産所得」になるので、青色申告での節税ができます。
青色申告とは、所得から最大65万円控除できる申告方法
青色申告とは、日々の取引を簿記の原則に従って帳簿付けし、確定申告を行う申告方法です。
青色申告で確定申告すると、税制上、以下のメリット(節税効果)を受けることができます。
- 所得金額から、最大65万円控除。
- 赤字を3年間繰り越して、所得金額から控除できる。
この青色申告で確定申告をする場合、「青色申告承認申請書」という書類を地域の税務署へ提出する必要があります。
原則、事業開始から、2ヶ月以内の提出となっています。
開業届を提出したタイミングで、「青色申告承認申請書」も提出しましょう。
帳簿付けの方法は、「単式簿記」と「複式簿記」の2パターンあります。
駐車場経営は「不動産所得」になります。
その中でも、「事業的規模」であるかどうかで、控除額と仕訳方法が違います。
規模 | 控除額 | 帳簿付け |
事業的規模に満たない | 10万円控除 | 単式簿記 |
事業的規模 | 55万円控除 | 複式簿記 |
事業的規模(e-Taxによる電子申告) | 65万円控除 | 複式簿記 |
駐車場経営の「事業的規模」については、以下の記事で解説しています。
>>【駐車場経営】確定申告は必要?不要?やり方や税金について徹底解説
単式簿記
収支を記入するだけの簡単な簿記で、家計簿をイメージしてもらえると分かりやすいです。
- 日付
- 項目
- 詳細
- 入金額
- 支出額
- 残高
上記の項目があり、当てはめていくだけOKです。
特に月極駐車場経営の場合、収支が毎月ほとんど同じなので、難しくありません。
複式簿記
複式簿記とは、お金(取引)の収支を、原因と結果の2側面から見ることで、お金の収支を把握することのできる仕組みのことです。
利益はいくらあるのか?ということの把握もできます。
左側を「借方」、右側を「貸方」といい、取引ごとに、左右どちらとも記入します。
ちなみに、どちらとも同じ金額になります。
駐車場賃料の勘定科目は「不動産所得」です。
例えば、駐車場賃料1万円が口座に振り込まれた場合。
借方 | 貸方 |
普通預金 10,000 | 不動産所得 10,000 |
複式簿記は、簿記の知識が必要で、初めての方だと難しいと思いますが、駐車場経営の場合、収支が複雑ではないです。
提出するメリット
- 青色申告が可能になる。
- 赤字を3年間繰り越せる。
- モチベーションアップにつながる。
- 青色申告が可能になる。
上記で解説した青色申告によって、最大65万円の控除を受けることができ、節税のインパクトは大きいです。
- 赤字を3年間繰り越せる。
駐車場経営で仮に赤字になった場合、青色申告を行うことで、給与所得と合算して計上することができます。
その場合、給与所得にかかる所得税から引かれるため、所得税を下げることが可能になります。
これを「損益通算」と言います。
それでも赤字が残れば、最大3年間繰り越すことができます。
- モチベーションアップにつながる。
開業届を提出することで、事業主としての意識が芽生ええて、モチベーションアップになります。
「よし、がんばるぞ!!」と気合が入ります。
実は、ここが重要だと思います。
提出するデメリット
- 失業手当が受給できなくなる可能性がある。
- 扶養から外れる可能性がある。
- 帳簿付けの知識が必要。
- 失業手当が受給できなくなる。
そもそも、失業手当は、会社の雇用保険に加入していた人が失業した場合に受けることのできる手当です。
副業で駐車場経営をされている方は、本業である会社を辞める際、失業手当の受給ができない可能性が高いです。
なぜなら、受給するにあたって、「再就職する意思がある」という条件があるからです。
しかし、開業届を提出した後に、何らかの都合で会社を辞めることになった場合、開業届を提出していることから、「収入源がある」とみなされ、受給できない可能性が高いです。
そうならないためにも、会社を辞める前にハローワークへ相談して、適切な方法で、受給できるようアドバイスをもらいましょう。
実際にハローワークへ確認したところ、稀に受給できるケースもあるとのことなので、必ず相談しましょう。
- 扶養から外れる可能性がある。
パートナーの「健康保険上の扶養」から外れてしまう可能性があります。
これは、各健康保険の組合が定めていることで、「年収が少なければOK」の場合もあれば、「個人事業主であれば扶養から外す」と定めている場合もあります。
「開業届を提出する=個人事業主」なので、健康保険組合の規定の確認が必須です。
「税法上の扶養」(一般的に言われている年収103万円以下)の方は、範囲内であれば、問題なく扶養に入ることができます。
- 帳簿付けの知識が必要。
駐車場が「事業的規模」であれば、青色申告をする際、55万円控除、または、電子申告による65万円控除を受けれます。
その時、「複式簿記」での帳簿付けが必須になります。
上記で解説した通り、複式簿記は初心者の方には、多少わかりずらい形式での記入方法です。
しかし、現在は「会計ツール」があるので、それを使うことにより、かんたんに帳簿付けが可能です。
月極駐車場経営の場合、取引の回数も多くないので、最低限の簿記の知識のある方は、自分で帳簿付けもできます。
駐車場が「事業的規模に満たない」のであれば、青色申告10万円控除を受けることになります。
その際は、単式簿記(家計簿みたいなもの)でいいので、初心者の方でも帳簿付けできます。
開業届を提出しないとどうなる?
罰則はないものの、青色申告での節税効果の恩恵を受けることができません。
駐車場の規模によって控除額の差はあるものの、青色申告と白色申告の差は大きいです。
また、赤字になった場合、白色申告だと翌年以降、3年間繰り越すこともできません。
メリット・デメリットを考慮した上で、慎重に検討する必要があります。
まとめ
今回は、開業届提出の必要性、メリット・デメリットについて解説しました。
原則、事業を始める際、「開業届の提出は義務」ということを抑えておきましょう。
開業届を提出することによって、
- 青色申告が可能になる。
- 赤字を最大3年間繰り越せる。
- モチベーションアップにつながる。
青色申告は地域の税務署へ「青色申告承認申請書」の提出が必要です。
青色申告を行うことによって、赤字が出た場合、翌年以降、最大3年間繰り越すことが可能になります。
開業届を提出することによって、事業主としての自覚が湧いてモチベーションが急増します。(これ重要です。)
デメリットとしては、
- 失業手当が受給できなくなる。
- 扶養から外れる可能性がある。
- 帳簿付けの知識が必要。
本業の会社を辞める際、「収入源がある」とみなされ、失業手当の受給ができない可能性が高いです。
会社を辞める前に、必ずハローワークへ受給するための相談をしましょう。
開業届提出=個人事業主は「健康保険上の扶養」から外れてしまうことがあります。
各、健康保険組合の規約の確認をしましょう。
55万円控除、65万円控除の複式簿記での帳簿付けが分かりづらいです。
最低限の簿記の知識は必要です。
現在は、会計ツールを使うことで、初心者でもかんたんに複式簿記での帳簿付けができます。
開業届を提出することによって受けられる恩恵は大きいです。
しかし、副業で駐車場経営をされる方は、デメリットもあるので慎重に検討しましょう。
駐車場経営を始める方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
以上、ありがとうございました!
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